Photo Gallery オホーツクの四季
 
 
山本勝栄(やまもと・かつえ)

●山本勝栄(やまもと・かつえ)

オホーツクフォトグラファーメンバーズ事務局長
北の写真家集団DANNP会員

昭和33年2月21日生まれ。
大空町在住。
釧路川のラッコ「クーちゃん」がテレビ報道などでフィーバーしてますが、身近には報道されない絶滅の危機にさらされている貴重な動植物が沢山ありますから、そちらも注目して欲しいものです。皆さんの周りでも最近目にしなくなった動物や植物などはいないでしょうか?ちょっと周りを観察してみてください。
【連絡先】090-2058-1565(山本)

バックナンバー

Vol.1 初夏を告げるタンポポ絨毯 他

Vol.2 断崖の花畑 他

Vol.3 雨宿り 他

Vol.4 サクラマスの故郷神の子池 他

Vol.5 一夜限りの月舞台…

Vol.6 晩秋の桜 他

Vol.7 名残の紅葉 他

Vol.8 初日の出を浴びて 他

Vol.9 流氷原に浮かぶ満月 他

Vol.10 青サギたちの里帰り 他

Vol.11 貴重な春の朝食 他

Vol.12 桜日和 他

Vol.13 知床連山からの朝焼け 他

Vol.14 ひまわりの滑走路 他

Vol.15 ころころ麦ロール 他

Vol.16 故郷をめざして 他

Vol.17 晩秋のコスモス 他

Vol.18 森作りをするエゾリス 他

Vol.19 夕景飛行(白鳥) 他

Vol.20 雪衣装〜藻琴山 他

Vol.21 気球散歩 他

Vol.22 名残惜しい雪原の影 他

Vol.23 夕陽に映える柳の花 他

貴重なひととき 写真・文/山本勝栄(オホーツクフォトフラファーメンバーズ)
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 3月を迎えると春に向かってのカウントダウンがやけに早いと感じるくらい、寒さの勢力が一気に衰えたり、また、決まって春分の日あたりで吹雪を呼び返したりと気まぐれも見られます。そんな寒暖の移ろいから身近な自然も春に引き寄せられるかのように、刻々と変わっていくのを実感できます。野山を歩いているとやけに太陽からの日差しを強く感じたり、太陽の位置も気が付くと少し高くなり夏の高さに向かって徐々に高度をあげていきます。この時期、日当たりの良い庭先でも小さな春を感じたり、渡り鳥たちが木々で北へ帰る相談で賑わしかったりと、周りがそこまで迫っている春を迎える準備で気ぜわしい感じさえします。周りの自然は雪に閉ざされた冬から早く抜け出そうと、淡々と準備をしていますから、ちょっと立ち止まって小さな春を探してみてください。

名残惜しい雪原の影

 積雪も強い日差しで次第に背丈が押さえられ、真っ白な雪が見られる日も少なくなってきます。暖気で雪の色も真っ白のパウダーから水分を含んだ小さな結晶へと進化をしていきます。降る雪の結晶も暖気で大きく、太陽の光で大きくキラキラとしていますが、すぐに型崩れして粒々に変わっていきます。ついこの間まで、ふかふかの雪に太陽が流した墨を筆で書いたような長い影を書いていたはずなのに、徐々にその影が短くしだいに雪というより氷の粒々になり、結局は地面に吸収されていきます。春が待ち遠しいのですが、名残惜しい冬の情景もあります。寒くて辛い冬なのですが、冬でしか見られない樹氷や雪原だからこそ見られる太陽とのコラボレーションで映える影。雪にくっきりとその存在感を見せ付け、遥か彼方から送られる太陽の熱視線を感じますが、厳しい自然の中で樹の力強さも感じさせられます。

水ばしょうの息吹

 硬雪になった野山を散策すると、吐く息ももう白くはならなく、心地良い汗さえぬぐうようになってきてます。日当たりの良いところでは雪が太陽の圧力で氷へと変身させられてます。氷の中から緑色の鋭利な植物がニキッと顔を覗かせてきています。まるで緑の竹の子?湿原に咲く春の白い妖精「水芭蕉」。寒い冬の間じっとこの時期を待って栄養を蓄え、氷に穴を開けていち早く太陽の光を受けるために背伸びをしてきます。
 水芭蕉の根は地中に1メートルほども伸びて、脈々と茎に栄養を送っています。その根はヒグマにとっては冬眠中に体内に溜まったものを浄化してくれるもので、人間では七草のようなものかも知れません。春を告げる花として網走湖周辺やサロマ湖周辺など広範囲で身近な沢地の湿地などにも広く分布していますから見かけることも多いと思います。水芭蕉が咲き乱れる頃は知られていますが、咲くまでのプロセスを知っている方は少ないのではないでしょうか?どんな花も、咲いた時は脚光を浴びますが、そこまでに至る過程を知るともっとその花に愛着や敬愛の念を抱くと思います。華々しい時があるのは、この水芭蕉のように暗い冷たい雪の下での地道な長い努力があるからです。

 
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